アメリカの医療・病院経営学部の創設に多大な貢献をした人といえば、かの有名なコーンフレークでお馴染みのケロッグ社の創設者であるW.K.ケロッグ氏(Will Keith Kellogg)だ。W.K.ケロッグ氏は、自分の会社のためにコーンフレークを発明したのではなく、必要に迫られてコーンフレークを発明したのだ。
その経緯は次のとおり。
ケロッグ氏は、菜食主義で有名なアバンティスト教会の会員であった。ケロッグ氏のお兄さんは医師であり、アバンティスト教会の会員のためにの病院を設立し、その運営を弟のW.Kケロッグ氏に任せたのだ。病院の患者もアバンティスト派の菜食主義者であった。当時の病院は寄付金で運営されていたので、入院患者
たちの食費を捻出するのも大変であった。そこで、W.K.ケロッグ氏は病院運営の傍らで、安く、おいしく、栄養があり消化の良い菜食食品の研究もしていた。
ミシガン州は、コーンと小麦の産地なので、それらを利用した食品が作れないものかと試行錯誤する毎日だった。コーンと小麦を混ぜた生地を薄く延ばして焼いてみた。歯ごたえが良くておいしい。これがコーンフレークの誕生だ。まさに必要は発明の母といえようか。コーンフレークは、たちまち、病院患者からバトルクリークの住民へと広がり、全米に広がり、ケロッグ社の設立に至った。W.K.ケロッグ氏は、信心深い人だったので巨額の富を社会に役立てようと考えてケロッグ財団を設立した。
~次回に続く~
なお、詳しくは私の著書の「病院の外側からみたアメリカの医療システム」の中の<アメリカの医療経営教育の歴史から現在に至るまで>のゲーリー・ファイラーマン博士とリード・モートン博士とのインタビュー談にも参照下さい。