前回までのあらすじ:
アメリカの医療・病院経営の修士課程の質を保証する認定制度が発足しましたが、アメリカでは、認定機関の設立だけでは学士・修士課程の認定制度は確立できません。理由は、認定制度は2箇所から統制(Control)されているからです。今回は、2箇所からの統制について実際にそのプロセスに関わったファイラーマン博士の談話を基にして話を進めていきます。
前回までのアメリカの医療・病院経営学部の誕生に至る背景、連載はこちら
(この連載の詳細は、著書をご参照ください。)
ファイラーマン博士談:
1つめの統制は、大学の学長 (President) の認識です。つまり、学士・修士課程の農学部、建築学部、医学部、工学部などの専門分野の責任者は、常に大学の学長に「我々のプログラムにもっと財源が必要だ」と言います。 一方で、認定機関も「あなたの大学はあなたのプログラムにもっと財源を与えるべきだ」と言ってきます。もしあなたが学長なら「それは大変だ」と思うでしょう。
しかし、同時に全てのプログラムが認定機関に認定され、最高で評価されたいとも思うでしょう。 だから学長は、自分の大学(院)に対する認定制度の役割や貢献度を考えて認定取得について熟考しているのです。あなたが認定機関の責任者なら「認定制度が大学側に与える貢献度やなぜ認定が大学に有利に働くか」などを念頭において大学に提示しなければ、大学側は認定制度には協力しませんし、失敗に終わります。また、認定調査は、大学側からの依頼、つまり大学側からの「認定調査受け入れ許可書」が必要です。
(河野)各種認定の取得は、大学の意向に任されており、強制ではないと考えていいのですか。
(ファイラーマン博士)その通りです。強制ではありません。認定の取得は大学自体に任されています。大学がどの認定を取得するかなどの選択権を持っていると考えられます。
先ほどの2つめの統制は、連邦政府です。アメリカでは、高等教育に連邦政府のコントロールはありません。
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